ドリーム小説
周りが薄暗くなるくらいの時間。
が新選組の屯所を歩いていた。
が庭で洗濯物を干していると勇坊達が庭でなにかやっているのが見えた。
木に凧が引っかかってしまっているらしい。
「あ!姉。凧が木に〜。」
勇坊達がにしゃべりかけてきた。
「もうこんな時間なのに、早く帰りなさい。
凧は私がとっておいてあげるから。」
「ありがとう、姉!また明日!」
もう少しで本当に暗くなってしまうので、は勇坊にそう言って帰らせた。
「じゃあね〜。気を付けて帰るんだよ!」
勇坊達の後ろ姿を見ながら言った。
「さてと、忘れる前にとっておきますか。」
は木に登りはじめた。
「木に登るなんて久しぶりだなぁ。」
独り言をつぶやいた。
凧のところまでたどりついたのはいいが、下を見るとだいぶ高い。
が凧を枝からはずし、下に降りようとしたら急に強い風がふいた。
「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ」
落ちた。
足から落ちたので頭とかには怪我はなかったが、
ひざが割れるように痛い。
手をみると指先が切れていた。枝で切れたのだろう。
でも、凧は無事だった。
「あ、歩けない……。夕食の準備もしないといけにのに。」
はその場に座り込んだ。
もう周りは暗くなっている。
「朝までこのまま?」
は痛みと不安で目が滲んだ。
「、そこで何をしている?」
は顔を上げた。
そこにあったのは斉藤隊長の顔。
「あの…勇坊達がこの木に凧をひっかからせてしまってそれをとって下に降りようとしたら落ちま…し…た。」
斉藤がいつもの表情で言った。
「馬鹿だな。」
斉藤は指先の怪我に気が付いたらしく見せろと言った。
「あぁ、このくらいなら大丈夫ですよ。なめときゃ治ります。」
「そうか。」
というと斉藤はの指先をなめた。
「!!!何してるんですか!?」
「なめておいたら治るのだろう?」
といって、またなめた。
「歩けないのか?」
斉藤はに聞いた。
「えっ?あの…。」
すると急に抱きかかえられた。
お姫様だっこである。
「歩けないのだろう。明日も歩けないだろう。ひざは一日では治らんぞ。」
が恥ずかしくて顔を赤くした。
「ありがとうございます……。」
「別にいい、俺は嬉しいからな。」
「えっ?」
は斉藤の横顔を見た。無表情な顔。
なんだかそれが急に愛おしくなって斉藤の頬に軽く接吻をした。
「?!」
斉藤の顔がわずかに赤くなった。
「お礼です…。」
も恥ずかしくなって顔を赤くした。
それからは屯所に戻るまで黙ったきり。
次の日も斉藤はをお姫様だっこして屯所を歩いていた。
「あの、いいんですか?お仕事とか…。」
「今日は非番だ。心配するな。それにお前も休暇をもらっているだろう。」
心なしか斉藤の顔が嬉そうだ。
「では、またお礼をしないと…。」
はまた斉藤の頬に……。
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初斉藤夢。
本当は、猿も木から落ちるです。