ねぇ、空に手が届くと思う?

私は届くと思うんだ。

信じればきっと届く。

あなたは?

そう。届かないと思うのね。

あなたが言うと届かない気がする。

あなたの言葉は説得力があるから。

私はあなたの全てを信じてしまうから。


空に手は届かない。

手をのばしても近づいて来てくれないし見向きもしない。

ただ、青々と色を滲ませ、鳥を飛ばし

時には雲を敷き詰め、雨を降らす。

冬には白い雪をしんしんと降らし、地上を白く染める。


私は空に手をのばしても届かない。

でも、空も私に手をのばしても届かない。


おあいこね。


両方とも手をのばしあっても届かない。

二人の手はつかみ合うことなく宙をかく。

でも、気付かないうちに届いているんだ。

今こうして空に手をのばしているのだから。


あなたは言ったよね。

「空に手は届かないけど心は届いて居るんだ」って。

目を閉じ、手をのばし、心を広げて空をつかむ。

空は微笑み、優しく私の手をつかみ私も微笑む。

空は空であってどんな時も空はある。

そう思うと私はあたりまえの事が嬉しく思って

また今日も空を見上げる。








fin


私の『空』は存在しています。
私にとって人間であり、神であり、空である。
私の存在を忘れないでいてほしいと空に願います。