ドリーム小説
…ぃ……ぉぃ…お…い……おい!!
はハッとした。
寝汗をびっしょりかいていることに気が付く。
そして頬は濡れている。
「大丈夫か?ひどくうなされてたぞ。」
今までこんなを見たことがない土方は心配そうに顔をのぞき込む。
ーそうだ…私は足が動かなくなって倒れた所を
この人に拾われたんだ…ー
「あ…うん……大…丈夫…よ。」
何事もなかったかのように涙を拭う。
土方は何もいわずにの汗を拭き取っていく。
「大丈夫、自分でできる。ありがとう。」
さりげなく土方の手から手拭いを取る。
すると土方は浮かない顔をして部屋を出ていった。
は独りになると思いだした。
楽しかったあの日々を。
昔、恋人が生きている時、
が風邪をひいて寝込んだことがあった。
その人も心配そうな顔をして顔をのぞき込む。
同じように汗を拭いていってくれる優しい手。
「十郎様……。」
思い出すと涙がでてくる。
は誰もいない部屋で一人、ただ何も言わず泣いた。
あの事があってからは笑わなくなった。
表情を顔に出せなくなった。
そんなが涙を流したのは自身も驚いた。
「大丈夫か?。お前はいつも無理をするからなぁ。
辛い事や思い詰めている事でもなんでもいいから独りで抱え込むな。
俺に相談しろよ。」
心配そうに顔をのぞき込む土方と恋人がかぶってみえる。
すると土方が死んでしまうように思えてしまう。
あの時と同じように。
私を残して。
「私は何を思っているの…?」
わからない
わからない
わからない
せみが五月蠅く泣いていたある夏の出来事。
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あと2話くらいありそうです…。