ドリーム小説
〜璃故サイド〜 回想
闇- 闇- 闇-。
泣き叫ぶ声、鈍い音。
飛び散る紅い液体。
愛する人の悲鳴。
生臭い、鉄の匂い。
恐怖にみちた闇の中。
ザシュッッ
「いやぁぁ!!十郎様ぁぁぁあああ!!」
「!愛して……る……。」
私の愛する人が目の前で倒れた。
私の体に生ぬるい血がつく。
「わ、私も…愛してるから…。愛してるから、死なないで…!!」
泣いて声がでない。必死にふりしぼって声を出す。
「逃…げろ…。お前…だけで…も…生きて…く…れ…。」
愛する人は最期の力をふりしぼって低く唸るように言う。
「いや…いやよ…。あなたがいない生活なんて考えられない……!」
泣き声になってしまう。
「そ…れが…俺の…願い…だ…。」
そう言うと動かなくなった。
「いやぁぁぁ!死んでは…あなたが死んでは生きている意味なんて…。」
座りこむ。
……俺の願いだ……
愛する人の声が頭の中で木霊する。
「あ、あなたの…願い…?」
あなたの笑顔、しゃべり声、くせ、しぐさ、全てが頭のなかによみがえる。
「あなたの願い、かなえてみせます。たとえ壊れたとしても…。」
私は走り出した。
闇から逃げるように、光を求めるように。
生きたいと思って逃げているのではない。
あなたの願いをかなえる為に逃げているのだ。
「わ…私は…生きる…」
目の前に外の景色が写し出される。
自分の足などどうでもいい。
生きていればいいのだ。
走る。
それだけ。
いずれ足は動かなくなり、川沿いに倒れ込んだ。
そのまま意識を手放していく……。
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